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てんかんと遺伝の因果関係とは

2019年09月20日

結論として、ごく一部かつ少数の症候群を省けば、多くのケースでてんかん自体は遺伝しません。
厳密に言えば、てんかんのなりやすさや発作の発症しやすさは引き継がれる可能性こそあるものの、発症するための根本的要因が脳に発生しない限りは、原則的には遺伝によって引き継がれないとされています。
てんかんの発症要因である脳外傷も、親から子に引き継がれることはありません。

もう一歩踏み込んで、遺伝的要因が大きいとされる病気に関して触れていきます。
常染色体優性夜間前頭葉てんかん、結節性硬化症や良性家族性新生児けいれんといった病気に関しては、遺伝する可能性があるとされています。
ただし、これら3つの病気はてんかん患者の中でもわずか2~3%と、非常に発症事例が少ないことも念頭に置いてください。
ごく一部を除くという注釈の理由は、親から子へ引き継ぐか否かの前にそもそもの発症事例が少ないという点にあります。

てんかんを罹患する背景には、大脳が傷つくことによって発症する症候性てんかん、けいれんを発症しやすい体質が遺伝する特発性てんかんの、合計二種類の要因が影響されています。
前者の場合はたとえば、新生児を出産するときに頭部がなにかしらの要因が絡んで圧迫され、酸欠状態になるなど脳に損傷が加わった事態が挙げられます。
他にも、分娩中に発生した事象による脳への外傷なども内包されており、そういった意味では後天的な要因も絡んでいます。
後者に関しては、発症しやすい体質や状態が引き継がれる他に、脳の先天性奇形や先天性代謝異常といった要素が考えられます。

ただし遺伝の場合は冒頭で述べた通り、脳外傷や脳卒中・アルコールによって引き起こされたてんかん自体が遺伝することはありません。
つまり、発症の要因とされる脳外傷を親が負っていたとして、たとえ生まれた子供がてんかんになったとしても決して遺伝によるものではないということを十分理解しておきましょう。

てんかんが遺伝しているかどうか調べる方法はある?

ごく一部の症候群を除いては、大多数のてんかんは遺伝しません。
てんかん発作の起こりやすさ自体は遺伝する可能性こそあるものの、脳への外傷など引き金となる事象が起きて初めて発症します。
しかし、てんかんが遺伝するかどうかに関しては、妊娠中の方やこれから結婚する方にとってはやはり気になる問題でしょう。この場合、調べる方法としては遺伝子検査が挙げられます。

遺伝診察科・遺伝科など、専門的に取り扱う病院や医師によって、遺伝子検査が行われます。
てんかんだけでなく、腫瘍を併発しやすいベックウィズ症候群や、プラダー・ウィリ症候群やターナー症候群など、小児内科系特有の疾患を同時に調べることができます。
この他、レット症候群やアンジェルマン症候群といった神経筋疾患や変性疾患も含まれます。

検査は、遺伝子検査と染色体検査によって行われます。
ゲノム科学・分子遺伝子学の目覚ましい発展により、現在は小児疾患の病因が分子レベルで解明できるようになっています。
その高度な診察技術・分析力により、てんかんだけでなくさまざまな病理・治療の現場に用いられている、画期的な技術です。

ただし、留意しておきたい点として多くの遺伝子診断は保険収載がないため、場合によっては実費費用がかかる可能性があります。
もうひとつ重要な点としては、遺伝子による診断の取り扱いが難しい点です。
一度調べると複数回実施する必要がない上に、親兄弟の情報も判明するなどメリットは多分にあるものの、多くの情報が詰まっているだけに誤診があった場合、間違った治療・対処へと繋がる可能性も十分あります。
前段階である遺伝カウンセリングを行っている機関も多いため、まずはそちらを受診しましょう。